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「……っそれ、なら、隆太が確かめるといい……」 これが友情を抱く相手に対する、鼓動の速さなのかを。 俺の感情が今、友情と恋愛感情の境界線の、どちら側に居るのかを。 声を振り絞って、それだけ言った。 俺は隆太の手を取り、自分の胸に押し付ける。そこには、尋常じゃない程に早鐘を打つ、心臓が存在した。 「…………っ、俺と、同じ……なのか」 そう呟いた隆太の方が、泣いてる俺よりも、泣きそうな顔してた。 俺は隆太の手を強く握り締めて、互いの熱を共有する。 「わかって、もらえた……かな」 「こんだけ速けりゃ、な」 けど、理解したという言葉とは裏腹に、隆太は困惑の表情を浮かべてる。目を左右に泳がせて、正に信じられないといった様子だ。 「俺のこれは、隆太に対するこの感情は、友情じゃない」 もう一度、大きく涙を拭った。 もう、大丈夫。ちゃんと自分の想いを言葉に出来る。 「この感情を抱いてから俺は、隆太とどうなりたいかを考えた」 友達は嫌だ。キスフレでも、満足出来ない。 もっと、今より特別な関係はないのかって、考えてた。 「俺は隆太とキスフレ以上になりたい。今以上に、俺を、特別にしてよ。隆太の中で、誰も代わりが居ない唯一人の存在にして」
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