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なんか、隆太らしいなと思った。
隆太らしい、告白の仕方だ。痛いくらいの優しさに溢れてる。
俺に、ちゃんと逃げ道を作ってくれてる。
今だけじゃなくて、二人の将来の事を、ちゃんと考えてくれてる。隆太の想いは、どこまでも、深い。
俺はそんな、優しくて、少しだけ臆病な隆太が好きだ。大好きだ。隆太の心に触れて、俺はますます隆太への想いを強めた。
俺は迷う事なく、差し出された隆太の手を取った。
境界線は、もう、ここには無い。
「……どこにも、行かねえの」
「行かないよ」
「覚悟、出来てんの」
「言われる前から出来てた」
「…………っお前はさ、男同士とか、気にしてねえの」
「……正直、気にしてないって言ったら嘘になる。けどこれは、男同士だからって諦められるような気持ちじゃないよ」
この想いは、それ程までに膨れ上がってる。
男とか、関係ない。隆太がいい。隆太じゃないと、嫌なんだ。
俺は知らない。
男同士が、周りからどんな風に見られるのか。どんな風に、言われるのか。
それでも思ってしまうんだ。
周りを気にして、自分を押し殺す必要はないんじゃないかって。あるがままの自分で生活する事の、何がいけないんだって。
好きなものを好きと言って、何が悪いんだ。
「そんなに気になるなら、もう一度言うよ。俺達は、俺達だ。周りなんて気にしなくていい」
周りがどうとか世間がどうとか、そんな事よりも今はただ、目の前に居る俺の事だけ考えて欲しい。
他のものを見ないで。考えないで。
俺の事だけ、見て。
「隆太が不安になったら、何度だって言うから。今は、俺の事だけ、考えてよ」
隆太が息を飲むのがわかった。
気付いた時には、俺は隆太の腕の中に居た。
痛い程に抱き締められて、触れた部分から隆太の感情が、溢れる想いが流れ込んでくるみたいだった。
「……お前、マジ、強えな……」
その言葉は、どこまでも、嬉しそうだった。
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