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文化祭で振り替え休日になった月曜日、俺は隆太の家に泊まりに来た。 隆太の弟君はいつも通り学校で、お兄さんは仕事。 二人きりだから、隆太の部屋じゃなくリビングでテレビゲームを始めた。俺は隆太の真後ろに座って、新しいゲームの操作説明を受ける。 後ろから隆太を見ていると、少しだけ大きめの洋服から白い肌が覗いていて、視覚的に薄っすらと危険な香りがした。 綺麗な素肌にそっと唇を寄せて。 ちょっと、だけなら。 そんな事を思いながら、傷を付けてしまわない程度にガブリと隆太の首筋に噛み付く。その瞬間、目の前の身体がビクッと跳ねた。 「なんか、微妙に痛てえんだけど。何噛んでんの」 「隆太の首筋って、なんか噛みたくなるよね」 「どういう心境だ」 「なんて言うか……白くて、綺麗だから」 「……っ……お前、付き合い出した途端これかよ」 「隆太、真っ赤だね」 「うっせ。お前も同じようにしてやる」 歯型は付けてないんだけどなんて言い訳をすれば、そういう問題じゃないと言われてしまった。 そしてこちらを振り向いた隆太が、仕返しだと言わんばかりに俺の唇を奪ってくる。
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