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「……んっ……」 キスする瞬間近付く距離に、恋人同士になってからというものますますドキドキとしてしまう。付き合う前も充分過ぎる程ドキドキしていた筈なのに、これ以上寿命が縮まったらどうしてくれよう。 唇に触れた感触が本当に柔らかくて、でもそれは直ぐに離れていって。 触れるだけのキスが、妙に焦れったい。 感触を辿るように自分の唇を指でなぞって、そのまま隆太の唇に指を這わせた。これだけじゃ、足りない。 「……これだけ?」 「これだけで済むと思ってんの」 俺は眼鏡を外されて、直ぐ目の前で、金色の髪がさらりと揺れる。 その瞬間、俺はゆっくりと目を閉じた。
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