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身体を引き寄せられて、途端に近くなった距離に心臓が大きく跳ねた。 指先に柔らかな感触を感じて、俺は隆太がこれからしようとしている事が何となくわかって、無意識に身体を後ろに引こうとする。 「あの、隆太さん?」 「抵抗すんなよ。やられた分は、やり返す」 「ちょっ……」 人差し指に、隆太が優しいキスを落とした。 そのまま、そっと唇が開いて、俺の指先は吸い込まれるみたいに咥えられる。 俺はそれをまるでスローモーションのように眺めながら、いつの間にか自分の指先から目が離せなくなっていた。 柔らかくて、生温かい感覚が俺の指を襲う。 奥の方まで咥え込まれて、隆太の前歯が指の付け根に当たった瞬間、自分の意思とは関係なく身体がビクリと震えた。 「なん、だろ、これ……なんか変な感じ」 丁寧に、そして入念に舐め回されて、俺が隆太にしたみたいに付け根から指先にかけてを何度も舐め上げられる。 人差し指と中指の間に意思を持った舌が這う。身体中を駆け巡る刺激に、俺は信じられないと首を振った。 「なんか、これ、ダメ。隆太ストップ」 「まだだ。まだ、我慢しろよ」 我慢なんて、無理だ。指が、こんなに感じるなんて知らなかった。ダメだ、これ。なんか、ダメ 止めて欲しくて、俺は必死に隆太の腕を振り払おうとした。 でも簡単に振り払える訳もなくて、ただただ与えられる快楽に耐えるしかなかった。 気持ちいいけど、むず痒くて、もどかしくて頭がクラクラしてきた。 ビクビクと身体を震わせる度に、水面に波紋が広がっていく。 拘束されていない手でタオル越しに自身を押さえつけても、もう、遅い。 これじゃ、感じてるの、丸わかりだ。
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