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「ごめ……ごめんっ……俺が、悪かった、からっ……も、やめっ……」 「止めねえよ。俺の理性ぶっ飛ばしたのは太一だ」 ガリッと、指先を噛まれながらそんな事を言われて、俺の心臓はこれでもかっていうくらい早鐘を打つ。 ああ、理性、ぶっ飛んだのか。なんて冴えない頭で思った。 それでもこれは、こんなに感じさせられるのは、予想外だ。 指先を噛まれる度に、俺は縛った口の端から、小さく喘ぎ声にも似た声を何度も漏らす。 ほんの小さな声の筈なのに、ここが風呂場なせいか、やけに耳に響いて恥ずかしくなった。 「だからっ……ごめ、って……ぅっ……ぁ、ぁっ……」 隆太の指先が俺の腕をするりと撫で、そのまま肩口、鎖骨、首筋を辿っていく。 触れるか触れないかの際どい愛撫に、俺はもう限界にも似た感覚を覚えていた。 自然と、これでもかという程昂らせた自身を隆太の太ももに擦り付けていて、それでも足りない刺激に勝手に腰が揺れる。 核心部に触れないのが、もどかしくて仕方なかった。そう、思ってた瞬間。 「なあ、太一、このまま……合わせて擦っても、いいか」 「……ぁ、え、何を……っ……ぁっ……」 「ここ、こうすると気持ち良くねえ?」 「……っ……あ、ぁっ……待って、これ、ダメっ……」 俺のと、隆太の一緒にされて、隆太の手で優しく上下に愛撫された。俺のと同じくらい聳り立つそれに、俺の心臓がドクンッとなった。 隆太も、俺でこんな風になってる。それが、堪らなく嬉しくて。 裏筋を擦られて、隆太のがなんかいい感じに当たってて、俺は性急に追い立てられる。 ヤバい。これ、凄く、気持ちいい。 「……太一、もっと、腰寄せて」 俺の腰に隆太の指先が触れた瞬間、目の奥がチカチカとなった。脳みそが、溶けたかと思った。 吐息混じりの声といやらしく響く水音に耳から犯され、身体からはどんどん力が抜けていく。 そんな事、欲情が見え隠れするような艶やかな声で、言わないで。 ああ、もう、何も考えられない。ただただ、気持ちいい。
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