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放課後、いつものように図書室に来た俺は、職員室から借りてきた鍵を使い図書室内に入った。 去年までは担当の先生が開けてくれてたんだけど、その先生が定年した事により今年から俺がこの鍵を引き継ぐ事となった。 大体の日は俺の方が先に辿り着くけど、佐々木の方が先に来てる時もある。 その時は、決まって図書室の前にヤンキー座りをして待っていた。 今日は俺の方が先に来たけど、あまりにも似合うその待ち姿を思い出して、俺は人知れず笑みを浮かべた。 読みかけの本を開いてから数分程後、再び図書室のドアが開いた。 相変わらず、ここには俺と佐々木の二人しか来ない。だから勿論ドアの向こうに立っていたのは佐々木だ。 よう、と挨拶をしてきた佐々木に、俺も手を上げて挨拶を返す。 「……ちょっと、遅くなった」 「俺も今来たばっかだよ」 佐々木は後手にドアを閉めて、どこか落ち着きがない様子でいつも座っているカウンター前の席に座った。 どんな風に落ち着きがないかって聞かれたら答えに困るけど、なんか、佐々木の動作がぎこちないと言うか。 どうしたんだろう。でも座った後は至って普通だし……気のせい、かな。
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