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空いてる、とは恐らく予定の事だろう。
なんだ、その事を聞く為にタイミングを見計らっていたのか。
「まあ、予定は無いな」
「それならさ……最初にオススメされた小説の、映画あっただろ」
「ん……ああ、あれな。小説派だったから観てなかったけど、確か評価高かったよな」
「そのDVD借りてきたんだけど……、土曜日、良かったら一緒に、それ観ないか……」
一緒に観ないかと、か細く、途切れ途切れに言葉を紡いだ佐々木。
その口調や声色は、普段のそれとはやはり違っていて。
その事が妙に引っかかった俺は、カウンター内から出て佐々木の座っている席へと歩を進めた。
「あの……鍵本が、もう観てたり……観たくなかったら、別にいいけど……って、何でこっち来るんだ」
突然自分を覆う様に出来た影に、佐々木が戸惑いの声を上げる。
二人の距離は、僅か10cmといったところか。
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