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風呂から上がって更に話し込んで、気が付いた時には夜中の2時を回っていた。 そろそろ寝ようかと言いつつ、敷いてもらった布団に潜り込む。 俺が横になったのを確認して、佐々木が部屋の電気を消してくれた。 佐々木がベッドに入っていく時の衣擦れの音を聞きながら、おやすみと声をかけた。 静まり返った部屋に、時計の秒針の音だけが響く。 真っ暗闇の中で目を閉じて眠りにつく筈だったのに、俺は何故か直ぐに寝付けなくて。 何か、違和感というか……何かを忘れてるような。 …………あれ……そう言えば、今日はキス……されてない気がする。 今日の事を思い出そうとしても、キスした場面は思い浮かばなくて。 違和感の正体は、多分、これだ。 会えば必ずと言っていい程されていたから、されなかった事に引っかかりを覚えたのだろう。 まあ、特にこれと言ってされる様な事もしてないんだけど。 佐々木が隣に居るのにキスしないのって、なんか、変な感じだ。 朝目が覚めたら、隣に佐々木の姿はなくて。 気怠い身体を起こして階段を降りると、キッチンに佐々木が立っていた。 おはようと言うと、佐々木がふわりと笑っておはようと返ってきたから、俺も笑顔を返して洗面所に向かった。 顔を洗ってキッチンに戻ると、佐々木がフライパンで目玉焼きを焼いていて。 何か手伝うよと声をかければ、じゃあ棚から皿を出してとお願いされた。 皿を渡した瞬間、柔らかい感触が俺の唇に触れて。 その瞬間、ふにっと、可愛らしい音がした。 いつも通り、唐突に奪われた。 まるで、呼吸をするように自然に。 でも俺は思う。 やっぱり、この方がしっくりくるな、と。
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