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「ほら、ダーリン早くっ」 「誰がダーリンだ」 テンション高く俺を呼ぶ声にお決まりの返しをした、昼下がり。 中間テストが始まったその日の放課後、職員室から借りてきた鍵を持ち、俺は近藤と一緒に第二図書室に向かっていた。 三限目で終わった今日は、テスト勉強をするという名目で近藤が第二図書室に顔を出す。 部活もテスト期間中はやってないし、勉強するには丁度いい場所だからと話し合ったのは先週の事だった。 「俺以外の奴も居るから、あんま騒ぐなよ」 「わあー、ダーリン以外にも物好きさんが居たんだねえ」 「……よし、閉め出すか」 「すみませんダーリン様」 「あとな、図書室に入ったら絶対ダーリンって呼ぶなよ」 「大丈夫、言われなくてもわかってるって」 「その笑顔、不安しか感じないんだけど」 本当にわかっているのかわからない意味深な笑みに顔を引きつらせる。 そんな俺を見て、今度は無邪気な笑顔で笑う近藤。 今からテスト勉強するって言うのに、何でこんなに楽しそうなんだ。 ちなみに佐々木にも勉強を教えて欲しいと頼まれていて、先週からみっちりテスト勉強漬けになっている。 佐々木は今日のテストどうだっただろう。 今日行われた科目はまだ大丈夫だけど、明日の数学が心配だって言ってたっけ。
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