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第二図書室に続く廊下を進むと佐々木は先に来ていて、いつも通りドアの前に座って携帯を弄っていた。 佐々木もこちらに気付いたのか、携帯から視線を外してこちらを見上げてくる。 「さーー」 佐々木、と俺が名前を呼ぼうとした瞬間、俺の言葉は紡がれる事なく、身体は意図してその場に縫い止められた。 理由は、後ろから強い力で制服を掴まれたからだ。その犯人は言わずもがな近藤だけど。 「ちょ、何これどういう事、どういう状況なの。あれ、ダーリンって、佐々木君と中良かったっけ」 「……まあ、色々あって」 俺の洋服を掴んだままそう早口に言った近藤。本当に、驚いてるといった様子だ。 「何これ予想外の展開だよっ……誰もさっき言ってたのが佐々木君だなんて想像すらしないよっ」 「あー、そうだろうな」 見た目からしても、周りからすれば俺と佐々木が一緒に居るのは奇妙なんだろうな。 「とりあえず、そんなに握り締めたら制服が皺くちゃになるんだけど」 「佐々木君とそんなに話した事ないけど、大丈夫かな」 「大丈夫。あいつああ見えても話しやすいから」 俺はとりあえず近藤の手を退けると、そのまま図書室の鍵を開けた。 「佐々木、近藤の事わかるよな。去年同じクラスだったし。今日はこいつも一緒でいいか」 「いいけど。珍しいな、他の奴が来るなんて」 「近藤は前々から来たいって言ってたんだ。今日部活休みだし、勉強するのにここは最適だし」 「そっか」 俺はスルーを決め込んでいるので、近藤の事は気にせず図書室へと足を踏み入れた。するとようやく現実世界に戻ってきたのか、近藤がうんうんと頷きながら佐々木に声をかける。 「太一が言ってた常連さんて、佐々木君の事だったんだねえ。今日は宜しくね」 「あ、ああ……宜しく」
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