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「鍵本……?」
不思議そうな表情で俺の顔を覗き込む佐々木。
ああ、なんかその仕草、キスされる前みたいだな。なんて、頭の片隅でそんな事を思った。
思った瞬間、佐々木の顔が、フレームアウト。
あれ、何で、顔が近付いて来るんだ。
「……んっ……」
ーー今日、二度目のキス
触れた唇の感触はとても優しくて、この間久々にマシュマロを食べたけれど、感触はやはりそれと似ていて柔らかい。
あと、いちご味。
あれ、今までに一日に二回もキスされた事なんて、あったかな。
これは、どういった意味合いを含んだキスなんだろうか。
また、何かのお礼か。それともこれは、スキンシップなんだろうか。
そんな事ばかりが、ぽつりぽつりと浮かんでは消えてゆく。
佐々木はキスをした後、俺の唇をゆっくりと指でなぞった。
その指は直ぐに離されたけれど、何かを彷彿とされる仕草に、まるでもう一度キスをされたような感覚を覚えた。
こんな事されたのなんて、初めてだ。
「なあ」
「なに」
「お前がキスするのって、俺だけか」
「なに、俺が誰にでもする様に見えんの」
「……まあ、見えないな」
「じゃあ聞くなよ」
「…………うん」
佐々木はそれ以上、何も言わなかった。
でもさっきの佐々木の言葉が、まるで俺だけが特別だと言ってるみたいで。
何でだろう。
どうしようもなく、胸が熱くなった。
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