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気持ち良さそうに寝てるからこのまま寝かせてあげられたら良いんだけど、生憎と隆太は掛け布団すらも下敷きにしてしまっている。 これでは風呂上がりだし、風邪を引いてしまうかも知れない。 「隆太」 名前を呼んでみる。 名前を呼ぶのは、もう慣れた。隆太も最初は中々呼んでくれなかったけど、今は自然に呼んでくれる。 名前を呼ばれる度、少しずつ距離が縮まってるみたいに思えて。口には出さないけど、それがちょっとだけ、嬉しかったりする。 「隆太起きて。風邪引くよ」 「…………」 「隆太」 どれだけ声をかけても、佐々木の身体を揺さぶっても起きる気配はない。 「隆太、早く起きないと悪戯するよ」 全然起きないから、やっていくうちにだんだん好奇心のようなものが生まれてきて、悪戯心に頬をふにっとつねってみたり、鼻を摘まんでみたり。 それでも起きないもんだから、思わず噴き出してしまった。 面白い。どんだけ深い眠りなんだよ。
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