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「なんか、新鮮だな」 隆太の顔をじっくり見るのはこれが初めて。 隆太の寝顔はあどけなくて、少しだけ年下のようにも感じる。長い睫毛、見るからに柔らかそうな唇。まあ、実際柔らかいんだけど。 そっと金色の髪に手を伸ばし、指先に絡める。少し触れるだけの筈だったのに、染めてるとは思えない程優しい指通りが気持ち良くて、暫くの間弄んでいた。 「なあ……今日は、キスしないのか……?」 小さく、か細く呟いた。多分起きていたとしても、隆太の耳には届いていなかっただろう。 今日はまだ、キスをされてない。 して欲しい。とまでは言わないけど、やっぱりモヤモヤとした気持ちは心に残る。 言葉にしてみたら、なんか凄く変な感じだ。 最初からこうだった訳じゃないのに。いつからだろう。俺の中で、キスをするのが当たり前みたいになったのは。
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