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「なに……ん、ぅ!?」 いつも触れている隆太の唇に、自分の唇を重ねた。そしていつもより少しだけ長いキスをする。 シャンプーの匂いが、ふわりと鼻を掠めた。あ、俺と同じ匂いだって、頭の片隅でそんな事を思った。 そっと唇を離して眼鏡をかけると、クリアになった視界に、目を見開いて固まる隆太が映った。 隆太はその後わなわなと震え上がり、勢いよく口元を手で押さえた。 「い、今のっ……なにっ……」 「何って、キスだけど」 「そうじゃなくてっ……!お、お前からキスしてくるなんて、何考えてんだっ……」 「えっ?」 何でキスしたのか、って。 キスをするのが日常だと思ってたから、今日だって当然、するものだって思ってたんだけど。 なのに何で、そんな、狼狽えてんの。 俺は訳がわからず、頭に疑問符を浮かべて首を横に傾けた。隆太は尚も、口を手で押さえたままだ。 「今まで、お前からしてきた事なかったじゃねえかっ……」 「そう、だけど」 今日はまだしてなかったし、隆太からして来ないみたいだったから、じゃあ俺からしようかなって。 そう思ったら、気が付いた時にはしてたっていうか、隆太の顔が直ぐ近くにあったっていうか。 眼鏡を外したのも、無意識的に邪魔だなって思った結果で、隆太にキスしたのはごくごく自然な流れだったんだ。
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