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また、だ。
はあ、と深い溜息を漏らし、頭をぐしゃぐしゃと掻き乱す。
もう何度目だろうか。自分の指が、無意識に唇をなぞっている事に気付いたのは。
あの日、帰る間際、少しだけ掠ったあの感触はもう残ってない。
だからこそ、あのキスを思い出したくて触れてしまうのかも知れない。
キスしない時の物足りなさは、前から感じていた。
口寂しさから、学校の帰り道にコンビニで買った飴玉。レモン味の飴を舐めても、いちご味の飴を舐めても、むしろ口寂しさは増すばかりで。
俺が欲しいのはこれじゃないんだと、思い知るだけだった。
あー、キスしたい。
何が、お礼だよ。ただキスがしたかっただけじゃないか。
隆太とキスがしたかった。してくれなかったから、俺からした。ただそれだけだったんだ。
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