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図書室には、また俺だけ。 独りきりの室内はだだっ広くてあまりに静かで、心が寂しいって感情で覆い尽くされ、押し潰されそうになった。 このまま、避けられ続けるのは、辛いな。 もう、小説の話で盛り上がったり笑い合う事も、ゲームして遊ぶ事も。 キスだって、出来ないんじゃないのか。 クラスも違えば、俺達の接点なんて限られてる。避けられてしまえば、廊下ですれ違う事すら無いかも知れない。 足元から崩れ落ちそうな、そんな恐怖がじわじわと俺の身体を蝕んでいく。 禁断症状みたいに唇をなぞる指は、自分でも驚く程に震えていて。張り裂けそうになる胸が、何度も俺に訴えてくる。 あれが無いと、ダメなんだと。隆太が居ないと、俺は今にもダメになる。 勉強も頭に入って来ないし、何も手に付かない。四六時中隆太の事ばっか考えてる。 何かが足りない。何をしたって満たされない。 息苦しい。今にも、窒息しそう。現実が苦しいよ。 今更、やめる事など出来はしない。俺には、隆太が、隆太とのキスが、必要なんだ。 「俺は、どうすればいいっ……」 どうすれば、隆太は俺に、キスしてくれる。 「隆太……会いたい」 会いたいよ。 キスしたい。 会いたい。 会いたい。 気が狂いそうだ。 キスがしたいのと、隆太に会いたい気持ちがごちゃごちゃに混ざり合って、どうしようもなくなった。 せめて、避けてる理由が聞きたかった。納得出来る答えが欲しかった。
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