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「隆太」 「……」 どういう意味かと聞いても、隆太はずっと黙ったままで。隆太と名前を呼んでみても、隆太は口を開かない。どこまでも平行線だ。 「……隆太に避けられた理由、自分で考えてみたけどわかんなかったんだ。ごめん。でもわかんないまま避けられるのは、辛い」 だから。 「せめて、理由を教えて欲しいよ」 半歩、隆太との距離を詰める。 しかしそれと反比例して、隆太は一歩後退りした。俺達の距離は、全然縮まらない。 中々話が進まなくて、焦れたように更に言葉を続けようとしたが、それを遮って隆太の声が響く。 「……っお前、が、お礼のキスとか言うから。俺のとは、違ったんだって、わかったから」 今度は多分、言葉を選ぶ余裕すらなかったんだろう。隆太の言ってる事は、ちょっと滅茶苦茶だった。 隆太も焦ってるんだって事が、その口調でよくわかる。
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