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「……ん、ぅっ……!」 二人の間にある隙間は、全部埋めた。布越しでも相手の体温がわかる距離。唇に柔らかい感触を感じた後で、自分が今何をしたのか気付く。 あ、流石にキスはまずかった。そう思っても後の祭りだ。 してしまったものは、どうしようもない。 「な、何でキスっ……」 「何で、かな」 「またお礼のキスかよ、俺は何もしてねえぞっ」 「うん。多分、違う」 「なん、だよ、それ……っ、訳わかんねえっ」 うん、そうだな。ごめん。俺も訳わかんない。自分が。 多分、キスしたい衝動に、身体が贖えなかったんだと思う。ずっと、ずっとキスしたいって思ってたから。近付いたら、その想いが溢れてしまった。 「したかったから……したんだと思う。これがおかしいなんて、思ってない。嫌わない。友達やめるなんて、言う訳ない」 そう言って、抱き締める手に力を込めた。
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