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……あれ、俺、今何されてる? これって、キスだよな。とか考えてる内に、佐々木はただありがとうと言って俺の前から遠ざかって行った。 ありがとうって事は、本を貸したお礼か。はたまた、元々佐々木はスキンシップが激しい奴なのか。 まあ、別に減るようなものじゃないしな。 特にキスの意味も深く考えず、台車を元の位置に戻して再び定位置に座る。 カウンター内からはこの部屋を見渡せてしまう。それ程、狭い室内。その中にさっき本を持って行った佐々木の姿はどこにも見当たらなくて、俺は深い溜息を漏らした。 原則として、貸し出しカードを記入してカウンターに持って来て貰わないといけないのに。 これは、明日昼休みが潰れるな。 と、ぼやきながら天井を仰いだ。
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