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「キス、フレ……?」 「俺達みたいな関係を、キスフレって言うらしいから。改めて、俺とキスフレになって欲しい」 隆太が自分の足でしっかりと立っている事を確認して、俺はやっと隆太の身体を解放した。隆太も、俺のシャツからゆっくりと手を離す。 「は、あ……?なに、言って……」 言われた事が理解出来ないのか、隆太はぽかんとした表情をしている。 ああ、やっぱり、これだけじゃ上手く伝わらないよなと思った。俺も言葉を選んでる余裕がなかったんだ。 数回、大きく息を吸っては吐いてを繰り返す。 ちゃんと、伝えなきゃ。 「キスしたいって、言っただろ。お礼とかじゃなくて、俺は何もなくなって隆太とキスがしたい」 今ならはっきり言える。俺が隆太に、キスした理由。それはとても、単純な事だった。 「何かが足りないんだ。他の何をしても補えないくらい、それが欲しくて欲しくて堪らなかった」 満たされない気持ちを、素直に言葉にした。 俺の中ではもう、言いたい事は全部決まってるんだと思う。伝える言葉に迷いはなかった。
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