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次の日の朝、学校に行く途中の信号で立ち止まり青に変わるのを待っていると、後ろからとてつもない勢いでダイブをかまされた。
「……痛っ……おい……近藤ぉ……」
「おっはよーダーリンっ!今日も元気?」
俺は後ろから突進してきたクラスメイトの近藤 悠次郎(こんどう ゆうじろう)に、後ろを振り返ってドスの聞いた声をかけつつ頭を鷲掴みにしてやった。
「いいいいい、痛い!なんかめちゃくちゃ痛い!」
「俺の驚きと体重をかけられた痛みを思い知れ」
「ええーひっどいなあ、悠ちゃんの茶目っ気じゃん?」
「全然可愛くない」
近藤とは、高校からの友人だ。
席がたまたま近くて、いつも本を読んでばかりで一向に友達を作ろうとしない俺が気になって声をかけてきたらしい。 それから徐々に話すようになって、今では良き友人だ。
「もー、ダーリンは見た目通りの真面目ちゃんなんだからあ」
「誰がダーリンだ」
近藤の言う通り、俺の見た目は確かに真面目そのものなんだろう。
制服をきっちり着こなし、眼鏡と目や肩にかからない程度の真っ黒な髪の毛。成績は常に10位以内には入っているし、先程の近藤の言葉は的を得ている。
しかし、否定出来ないのがなんかムカつく。
「近藤」
「ん?」
「今日の昼、先に飯食ってて」
「何、用事?」
「ああ。図書室から勝手に本を借りて行かれてさ。相手わかるからちょっと声掛けてくる」
流石に持ち出したまま返さないって事はないだろうけど、万が一の事があった場合の責任は任されてる俺にある。
ちょっと面倒だが、俺の通うAクラスと佐々木の通うCクラスは目と鼻の先。別に理系文系で分かれている訳でもないから、教室は横並びだ。
昼に声をかけて、放課後図書室に来てもらえばそれでいい。
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