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隆太が質問してきた事に、俺は”は?”と間抜けな声で聞き返してしまった。 正直、見ればわかるであろう光景。それをあえて口に出して聞かれた事に訝しげる。 なんでそんな事聞くんだ。 「何って、汗かいたから身体拭いてるんだけど」 「ここはどこだ」 「第二図書室」 「……今ドア開けたのが、俺以外だったらどうしてたんだ。上半身裸……とか、色々マズイだろ」 「ははっ、そんなに人来ないから心配ないって」 「俺はいいのか」 「え、何か問題あった?」 「…………あー、聞いた俺が馬鹿だったな」 ここは本当に人が来ない。第二図書室の存在を知ってる人も少なければ、利用者も少ない。 俺が卒業する頃には第一図書室の横に書庫も出来る予定だし、ここにある本達はここよりも遥かに需要のある書庫に移動する事だろう。 実質、ここは俺達の秘密基地みたいなもんだ。 だから別に着替えてても問題ないと思うんだけど、どうやら俺の返答はおかしかったらしい。隆太は額に手を当て、はあーっ、と盛大に溜息を漏らした。 「……っ勘弁してくれ」 隆太が何かを喋ったが、俺の耳までは届かなかった。
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