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「綺麗になったな」 「やべえ。俺筋肉痛だわ」 「俺も」 結局三日間かけて第二図書室の掃除した。綺麗になった部屋に達成感を感じつつ、改めていつも自分が座っている席に着く。 ずっと掃除してたから、この席に座るのは夏休み明けてこれが初めて。 俺はカウンター内の席、隆太はカウンターから一番近い席に座りお互いに視線を交わらせた。 そして目が合った瞬間、ぶはっと二人して噴き出して。目の前に座る隆太が、この感じ久々だなと言って笑った。 「久々だけど、なんか変な感じだよな」 「隆太との距離って、こんな離れてたっけ」 「あー、家に居る時はもっと近かったからじゃねえの」 「ああ、なるほど」 言われてみればそうだった。 夏休みは毎日のように互いの家に行き来してて、手を伸ばせば簡単に触れられる場所に隆太が居たから、なんだか今はこの距離が遠く感じてしまう。 おかしいな。一番近い席の筈なのに。
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