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今日は実行委員の初顔合わせで、生徒会室の隣にある会議室に実行委員になった各クラスの生徒が集まった。 話の内容は主に自己紹介で、詳しいスケジュールや仕事内容は明日説明がある。 俺は顔合わせが終わると、迷わず隆太の待つ第二図書室に足を運んだ。今日は早く終わるだろうからと、隆太に待ってもらってる。 「ごめん、結構待たせたかな」 「いや。小説読んでたし」 俺が第二図書室に着くと、隆太はいつもの席に座って小説を読んでいた。 「どうだった」 「今日は本当に自己紹介だけだったから」 先程行われた内容を軽く説明をしながら、カウンター内に入る。今日もどうやら、隆太以外の訪問者は居なかったらしい。 俺も読みかけの小説をカバンの中から取り出した。まだ下校時間まで一時間近くあるし、ゆっくり本を読めるだろう。 挟んだしおりに手をかけると、読み始める前に隆太から声をかけられた。 「なあ」 「ん?」 「俺、クラスの手伝いする事にした」 「文化祭の準備?」 「そう。だから、帰りの時間が合う日は一緒に帰らね」 一緒に帰らないかと言われ、ふと思い出す。 確かに、実行委員の仕事が終わる時間とクラスの準備が終わる時間は大体同じだ。 それにクラスの殆どの人が部活に所属しているから、どこのクラスも人手が足りないって言っていた。 けど正直去年同じクラスだった時、隆太が手伝ってる所を見た記憶はない。 その事が気にかかり首を傾げれば、俺の反応に気が付いたのか、隆太が更に言葉を続けた。 「去年まではあんま手伝いとかしてなかったけど、今年は手伝う。一人で家に帰ってもつまんねえし」 「そっか。じゃあ、もしかしたら一緒に帰れるかもね」 「ああ」
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