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『また材料足りなくなったから買い出しに行って来る。今日も遅くなるから、先に帰っててくれ』 放課後、実行委員として活動している俺の元に用件だけが綴られたメール文が届いた。 ブルブルとポケットの中で震える携帯電話に、嫌な予感がしたのは言うまでもない。 隆太からのメールに俺もわかったと端的に返したけれど、今日も会えないのかと思うだけで内心はちょっと淋しい。 これで、一体何日目になるんだろう。 実行委員が終わった後、ふと気が付いた時にはCクラスの前に立っていた。 まるで吸い寄せられるように、足は自然と隆太のクラスに向かってしまう。 下校時間前なので、教室内には多くの生徒が残っていた。 黙々と作業を進める生徒達の姿を見ながらふと思う。ここに来て、俺は一体何がしたかったんだろうって。 普通なら、自分のクラスの様子を見るだろ。 何やってんだと自問自答するけど、勿論答えなんて返って来ない。俺は自分の情けなさに盛大な溜息をつき、頭を抱えた。
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