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用もないのに突っ立ってるのも恥ずかしくなってきた俺は、そっとCクラスの教室内を覗き込んだ。 すると直ぐさま見知った人物が視界に入ったので、思わず声をかける。 「あ、倉持」 「おー、鍵本。うちのクラスに何か用か」 「あ……いや、ただ覗いただけ」 「おいおい、スパイ行為か。そいつはいただけねえな。例え実行委員殿でも、こっから先は企業秘密だぜ」 そう言って倉持は教室の中が見えないように俺の前に立ちはだかった。後からのお楽しみだと倉持は言う。 俺は当日見れないだろうけど、他の人に中の事バラされたら困るというのが倉持の思う所だろう。 まさか、倉持までこんなに積極的に参加してるとは思わなかった。 「あー、そうそう。ちなみに隆太なら材料の買い出しに出てるよ。先生の車で行くっつってたから、結構遠い所だと思うけど」 「あ、ああ。そっか……教えてくれてありがとう」 倉持にお礼を言って、その場を後にする。 倉持の言う通り、隆太は居ない。それはここに来る前から、既にわかっていた筈なのに。 ああ、本当、隆太が居ないってわかっててここに来るなんて、どうかしてる。
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