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「そういえば、作りっぱなしのグラスがあったのも忘れてた」
「作りっぱなし?」
「うん。あい橋に行った日に作ったの」
「あの人騒がせな日か」
戒斗は運転しながらちらりと叶多を見下ろした。
きまり悪そうにした目と合うと、口の端を片方だけ上げた。
「それが……」
叶多は言い淀んで言葉を切るとため息をついた。
「なんだ?」
「あれ……進学のこと、ただの脅しだったって……」
「……ふーん。まあ、それでもいい機会だったんじゃないか?」
驚きもしない、といっても戒斗があからさまに驚くことはないけれど、どこか不自然なくらい平然としている。
こういう場合、平然とするよりはおもしろがるだろう。
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