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歓迎ぶりがいつもと同じであろうが、そう不思議なことでもない。
崇の印象は、最初に感じた〝怖い〟から温和というイメージに変わった。
常に克己(コッキ)的で、たまに痛いところを突いたり豪快に笑ったりするけれど、露骨に喜怒哀楽を示すことはあまりないのだ。
「叶っちゃん、これ」
崇たちの邪魔をしないように作品棚を眺めていると、則友が後ろから声をかけた。
差しだされた手には表面がでこぼこしたグラスがのっている。
「これ、このまえのだよね」
「そう。どう?」
叶多はグラスをまわして眺めた。
あのときはどこかいびつで納得がいかなかったのに、いまこうやって見るとどこも問題ない。
でこぼこのシルエットがきれいなラインになっている。
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