第7話extra Candy floss

11/29
前へ
/259ページ
次へ
歓迎ぶりがいつもと同じであろうが、そう不思議なことでもない。 崇の印象は、最初に感じた〝怖い〟から温和というイメージに変わった。 常に克己(コッキ)的で、たまに痛いところを突いたり豪快に笑ったりするけれど、露骨に喜怒哀楽を示すことはあまりないのだ。 「叶っちゃん、これ」 崇たちの邪魔をしないように作品棚を眺めていると、則友が後ろから声をかけた。 差しだされた手には表面がでこぼこしたグラスがのっている。 「これ、このまえのだよね」 「そう。どう?」 叶多はグラスをまわして眺めた。 あのときはどこかいびつで納得がいかなかったのに、いまこうやって見るとどこも問題ない。 でこぼこのシルエットがきれいなラインになっている。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

140人が本棚に入れています
本棚に追加