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その日は仕事が休みだったので、高校時代の友人と二人で飲んでいた。
こんな田舎に子洒落たバーなどあるわけもなく、女二人スナックで気ままに語らった。
三十路になろうがなんだろうが、旧友と顔を合わせれば自然と気持ちが若返る。私は後先を考えず、酒をあおりにあおった。
そんな乱暴な飲酒の帰り道。明日は二日酔いだなあ……などと思いながら、弱々しい光の懐中電灯を頼りに自宅に向かっていると、視界の片隅に何者かが映った。
「?」
女一人で夜歩きしておいてこんな事を言うのも何だが、結構遅い時間である。一体何者なのかと目を凝らせてみると、なんとそれは小さな女の子だった。暗くてよく分からないが、道の真ん中で何かを凝視しているようだ。
試しに懐中電灯を向けてみると、少女は眩しそうにこちらを見た。
「……え?」
思わず声が出た。
光を向けられて迷惑そうな表情の少女はしかし、私の方をみると愛くるしく破顔してきた。
そして、ごく親しい人にそうするような感じで、大きく両手を振る。
それは紛れもなく、18年前にいなくなった真由子だった。
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