第19章 よかったね、ありがとう

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規則正しい大いびきから、肩で息をするような呼吸に変わりました。 それでも、一生懸命酸素を取り入れようと体が反応しているのだと思いました。 穏やかな顔が、息をする度に歪みます。 「お父さん苦しそう。何とかならないのかね?」 母が私に言います。ベッドにはよくある酸素と書かれた差し込み口がありました。 「酸素マスクしてもらう?少しは楽かもしれないから。」 私は三階のナースステーションに言って声をかけました。 ナースの皆様、集まって何やら楽しそうに会話してます。 父が危ないのに、私達身内がいるからか、様子すら見に来ないで雑談?と思うと腹が立ちました。ミーティングとかなら、笑い声とかしないですよね? 「すみません!303号室なんですが、苦しそうなんで、酸素マスクだけでもしてもらえませんか?」 「酸素濃度は、お昼に計っています。酸素濃度が一定以下でないと、マスクはつけられません。・・・じゃあ、もう1回濃度を計ってみます。基準より高ければ無理ですよ?」 ナースがちょっと面倒くさそうに、酸素濃度を計る機械を持ってきました。さっき会話を中断させられたのが気に入らなかったのでしょうか?時間外にまた計らなければいけないのが嫌だったんでしょうか?それでも、私達身内を呼んだと言うことは、危険な状態だとわかってるんだし、もうちょっと気配りして欲しいと思いました。忙しそうにも見えませんでしたし。 私は病室で酸素濃度について母達に説明しました。 ナースは父の右手の指に器具をつけて計りますが、数回やってもエラー。左手でやってもエラー。測定不能と出ました。 「酸素マスク、持ってきますね。」 ナースは急いで酸素の準備を始めました。 その時に、一時間前に血圧の上が50を切ってた話を聞きました。それで母に電話が行ったようなのですが。 それにしても、いくら患者が亡くなるのに慣れてるからといえ、あんまりじゃないかと思いました。
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