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父に酸素マスクをつけても、呼吸は変わりませんでした。顎を回転させるような、無理矢理口を開いているような、そんな感じでした。
ずっと父の隣で手を握っていた母が、異変に気が付きました。
「ねぇ、お父さんの口の奥に、何か白いものがあって、息する度にうごいてるんだけど、何だろ?」
母に言われて父の口をのぞき込みました。確かに小さな白いのが見えます。
通りかかったナースを呼び止めて、父の口を確認してもらいました。すると
「あぁ・・・お昼のお薬ですね。」
そういってピンセットを持参し、マスクを外してひょいと取り上げました。
お昼の・・・薬?
父は朝からあのイビキをかいていたと言っていたはず。お昼なんて食べてないはず。
寝ている父の口に、薬を放り込んだ・・・?
は?
もう、私は悔しくてたまりませんでした。
寝ている病人が薬なんて飲めるわけがない。
この病院最悪だ!
お母さんだけは絶対ここに入れてはいけない!
そう思いました。
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