第38章 そうだ京都、行こう

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私は主人の足元に居たので針を刺してる所は見えませんでしたが、グリグリしてるのはわかりました。 院長先生はかなり悩みながら場所を探しています。 「最悪次ダメだったら太ももから針を通します。よろしいですか?」 よろしいも何も、それしかないならそうするしかありません。 主人の血管は、抗がん剤でボロボロになっているので、採血の時も失敗されることがあります。 静脈でそれなら、奥深いという動脈が探しにくくてやりにくいのかもしれませんが、痛い思いを何度もするのは可哀想だなと思いました。 ブスリ! グリグリグリグリ・・・・・ 「ん・・。行けたかな?○○さん凄いですね、痛いって言わなかったの、○○さんだけですよ。」 「いや、我慢してくださいって言われたから我慢してただけですよ。」 主人、苦笑い。 とにかく無事腕に注射針が刺さり、主人の血液がじわじわと装置に取り込まれていきました。 「必要な細胞だけ取り出したら残りの血液は体に戻します。それでも2時間くらいはかかりますから、奥さんはそのあいだ待合室で待たれるか、どこか外出してかまいませんよ。」 と言われ、私は主人を残して透析室を出ました。雨だし出かけても何をしたらいいのかわからないし、待合室で待つことにしました。
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