浦島は

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――あんなに色気があるのにもったいない。  浦島の横顔を見つめながら、あたしは今日も桃色の溜め息を吐く。  活気に満ちた朝の浜辺。  夜明け前から漁に出ていた男たちが次々に帰って来て、水揚げした魚を女たちが選り分けて運んだり捌いたりしている。とれたての魚介を買いに来る客も入り混じって大変な賑わいだ。  あたしみたいな商売女には本来なら縁のない場だけれど、誰の目も気にしないで浦島だけを見つめていられる機会は、この時間帯の浜辺にしかない。  魚を求めて訪れたようなふりをして、目は浦島を追い続ける。  それは、もはや日課になりつつあった。    漁師の浦島は母親と二人暮らしで、とても親孝行な男だと聞く。  女とまともに話すことが出来ないらしく、二十をいくつか超えても独り身だった。世話する者がいても断り続けているとか……  でも、浦島の容貌は特別だ。  海で焼けた褐色の肌と上背のあるたくましい体に、ひどく整った顔が乗っかっている。  そしてなぜか、若い娘だけでなく年増女も魅了するほどの色気がある。  寡黙さや、どこか翳りのある雰囲気がそう見せているのかもしれない。  
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