非日常な日常

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非日常な日常

暖かな風が頬を撫でる 真「ん…」 真也は重い瞼をゆっくりと開ける 消毒液の匂いに、仕切られた白いカーテン 僅かに開かれた窓から賑やかなざわめき 真「保健室…なんで…」 深淵の闇に囚われていた真也は、日の光に嫌悪感を抱く ざわざわと肌に纏う気持ちの悪い感覚に戸惑うように自身を抱きしめ身震いした 真「僕…なんで…」 あの永久ともいえる苦痛は夢だったのだろうか 高城遥香の後を歩いていて気分が悪くなったのは覚えている その後で誰かが保健室に運んでくれたのだろうか 困惑で頭を抱えた真也の顔を心配そうに除き混む人物がいた 真「うわ…」 ベッドに寝ていた真也は思わず飛び起きた 背中まである緑のふわふわな髪 髪の色と同じ緑の瞳 春の陽だまりのような優しげな笑顔 豊かな胸に細い腰 うん………絶世の美女だ…… うん……透けてるけど…… 透けてるよな…… 透けてる…… 真「うぇぇ………あっ…え…ぇええ」 真也の絶叫が響きわたり仕切られたカーテンが勢いよく開けられる 保「神木‥どうした」 真也の絶叫を聞きつけ保険医が慌てて駆け寄る 真「あっ‥‥あっ‥‥」 真也は口をパクパクさせ自分の目の前を指差す 保「神木‥どうした」 もう一度同じ言葉をかけるが真也は目の前を指差し固まったまま動かない
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