なんでこうなった

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どのくらい時間が過ぎたのだろう 耳を澄ませば微かに風の音が聞こえる 真也は深呼吸をし耳を澄ますと 風の音を頼りに歩き始める 集中力を乱さないようにゆっくりと やがて風が優しく頬に触れた ビクッと一瞬硬直した身体も徐々に落ち着きを取り戻す 風の流れに導かれ歩き続ける真也 暗闇で視界は無く、痛いくらいの静けさの中で何を想い歩き続けるのか 風の囁きに耳を傾けてたどり着いた先に待っていたのは 仄かに光が届く檻 真也が迷いこんだのは深淵の監獄だった 監獄の外には漆黒の髪、銀の瞳の男が目を見開いて真也を見ていた ここは闇に墜ちた魂を罰する監獄 罪が重ければ重いほど深いさい奥の深淵に墜とされる 普通の人間、それも生身では生きてはいられない 深淵の闇に墜ちた魂は、発狂して自我を失う 空っぽになった魂を浄化して輪廻に熨せる それが深淵の監獄の役割 何百年の孤独と暗闇に耐えられる魂はない 監獄の外にいる男は意識を集中して何かを探っている 真也は真っ直ぐに男に視線を向けて微動だにしない 監獄の外にいる男はゆっくりと真也に話しかける 「どうやってここに来たんだ」 男は不思議でならなかった 本来生身ではこの監獄にはたどり着くことはないからだ 闇に染まりきった魂だけが、たどり着く場所 真「学校で…教室に行こうとしたら」 そこで一旦考え込む真也 男「ゆっくりでいいから‥思い出してくれないか‥とても重要なことなんだ」 真也はゆっくり話し出した 真「クラスメイトが前を歩いてたんだ…その子を見たら冷や汗が流れて……苦しくなって‥気づいたら真っ暗で何も無い場所に………いた」
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