3人が本棚に入れています
本棚に追加
檻の外の男は顎に手をあて思案していた
フッと気づいたように真也に向けて手を翳す
すると真也は檻の外、黒髪の男の隣に立っていた
「すまない‥思考が追い付かず檻から救出するのが遅れたな」
男は真也の頭を優しく撫でる
真也は背の高い男を見上げ‥‥涙が込み上げる
真「ヒック……ヒッ…ウウ…」
極度の恐怖心から解放され、男にすがり付き泣き出した
声を殺して……
男は真也の背中をゆっくりと撫でる
落ち着くまでずっと
やがて泣きつかれた真也は男に抱き抱えられ気を失うように眠りに落ちた
男「この子はこれから普通には」
男は真也の頬を濡らす涙にそっと口づける
「この子の前途に幸あらんことを」
真也は深淵の監獄で300年耐え続けた
何故風が真也を導いたのか、まだ知るよしもない
男は真也の額に指で触れる
ゆっくりと淡い光に包まれ真也の姿が徐々に消えて行く
フワッと風が渦巻き、真也と共に消えた
男「アイツが着いていったか」
男はそう呟くと闇と共に消えて行った
最初のコメントを投稿しよう!