第1話 おっさんの俺は何故か美少女とキスしてました

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 「くっだらね……と」  俺は温くなったジュースを飲みながら、ネット上の匿名サイトに上がっている政治スレッドに鬱憤を中傷に変化させて書き込む。すると、暇そうな奴らが俺に対して来るな・氏ねと返信してくる。まだ生活に余裕のある連中なのだと一目で分かる。まだ感情が大きく揺れる余裕がある、という彼等の状態がそれを示していた。  俺の様に、何も感じ無くなったら何もかも終わりだ。グダグダと大学時代に教わった生産的な事をするとい使命を全うせず、ずーっと何もしないで生きる事に罪悪感すら持たなくなる。時々、この世の哲学を考えては寝る。それが続く様になれば、もうそれは人生が人生じゃない。  人生とは、人が生きる。人らしい感情が強く発しなくなれば、それはもう人じゃない。ただのそこらへんに生えている雑草と同じだ。俺がこの部屋で孤独死すれば、誰かが俺を見つけて雑草を引き抜く様に片づけてくれるだろう。そんなゴミのような存在に仕送りしてくれる両親は、とても虚しく素晴らしいものだ。  「人生終わってんな……お前なんか生きてる価値ねーよ……自業自得だ……氏ね……氏ね……氏ね……ワロタ……氏ね……」  俺は粘着して来る画面の向こうの誰かを中傷する。すると、彼か彼女か相手は随分と怒っているように無茶苦茶な内容を返信をしてくる。内容から見て学生らしい、若者らしく憎悪に満ちた文がそう感じさせた。あと、少し羨ましかった。
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