2715人が本棚に入れています
本棚に追加
真琴のクラスの展示は世界遺産なので、世界遺産の分類やそれぞれの一覧、特に日本にある物の詳しい説明などが、教室の壁中に貼られている。
室内の大部分を占めるのは、直径5メートルほどの実物大で作られた屋久島の縄文杉の模型。幹には、製材所に行って生徒たちが集めてきた杉の皮が貼り付けられている。
この模型は凝った作りになっていて、幹に開けられた4つの覗き窓からは、中国の万里の長城、エジプトのピラミッド、ローマのコロッセオ、ペルーのマチュピチュ、4つのジオラマを、それぞれ見ることができる。
特に、縄文杉の模型は、一気に作り上げなければならないので、クラスの生徒全員と真琴と副担任の高原とで大騒動だった。
真琴は時折、隣の古庄のクラスを覗いてみては、その進捗状況を確認した。真琴のクラスと同じような展示内容ということもあって、それぞれのクラスの生徒同士も協力し合っていたらしく、けっこう入り乱れて作業をしている。
「賀川先生!ウチのクラス、来てみて!!」
夕方になって準備も一通り終わり、帰り支度をし始めた頃、古庄のクラスの生徒たち数人が、真琴を呼びに来た。
手を引かれて隣の教室に入ると、そこは白と青の世界――。
絶景として有名なボリビアのウユニ塩湖の風景に包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!