不毛な争い

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友人知人にどうしても帰ってもらいたいという状況を、貴方は体験した事があるだろうか? ゆっくりしたいのに友人が家に泊まりたいと言った時 ちょっとだけ飲むつもりで家に呼んだ友人が盛り上がり、朝まで飲むハメになった時 まあ、なんにせよ。珍しい体験では無く、良くある事には違いない。 だがしかし! 言わねばならない一言「お帰り下さい」 この一言がどうも出ない。 遠慮、友情の破損への恐怖、様々な感情が渦巻く事で、このたったの六文字が喉につっかえて出てこないのだ! 俺は今、人生のなかの微妙な窮地に立たされていた。 この目の前にいるこの男。 コイツを早く帰らせたい。 この不毛な心理戦 この先、どう転ぶのか「神のみぞ知る」 ◇ 今から、遡ること約五時間前。 全人類の発情期、聖夜の夜の1日前 クリスマスイブ。 大学の三回生である俺たちは、そのおめでたい日を祝うため、何がおめでたいのかも良くわかっていないおめでたい奴らで、「俺のアパート」に集まり酒を飲みつまみを食い、その夜を楽しんだ。 七名。それが、聖夜の飲み会に参加した人数だった。 しかし、飲み会を始め乾杯をした。五時間後の今、その内の四名が帰り。今このアパートの部屋に居るのは、三名にも減る事になる。 三名だ。 三名。 そう、、三名だ。 ところで帰路に着いた四名。 彼らが帰ったのには列記とした理由が存在する。 今から遡ること二時間前。 つまり乾杯してから三時間後。 俺は、飲み会に参加していた意中の女性、「彼女」に告白をした。
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