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酔っていた訳じゃない。
至ってその時の俺は素面だ。
周りに持て囃された訳でもない。
彼女とベランダに出て話をしているとき結構イイ感じの雰囲気になったので、腹を決めて想いを伝えたのだ。
結果はなんとyesだった。
なんと素晴らしい聖夜の力だろう、俺は二時間前に恋人が出来たのだ。この喜び、なんと表せばいい。
当然、飲み会に来ていたメンバーは祝福してくれた。おめでたい話だ。
そして、彼らは夜は二人にしてあげようと空気を読み、気を利かせ、四名が帰路に着いたのだった。
四名だ。
四名。
そう、、四名だ。
ここで簡単な四則演算の内の一つ「引き算」でも行う事にしよう。
問題。
「七」引く「四」は何か?
答えは三である。
そう今、この瞬間に俺の部屋には三人の人間がいる。
一人は「俺」
もう一人は先ほど出来た「彼女」
もう一人は、、、「友人」
どうしてコイツは帰らない!!
◇
さて、俺が彼女と二人きりになり、良い雰囲気となりいかがわしい行為に身を落とすには些かコイツが邪魔である。
空気を読み、先に帰った四名とは違い、この男には場を読み行動に移す力は無いのだろうか?
しかしこの男、俺とは古くからの友人。詰まる所「幼馴染み」だ。
その出会いは小学生。いかがわしい事よりも同性との泥臭い遊びに目を輝かせて勤しんでいた時にまで遡る。俺とこの男の仲は最早、親友と呼べる強固なものだろう。
だからこそ、何故。この男が空気を読まないかが分からない。普段の彼は場を感じ空気を読み、あらゆる争いごとにも穏便に対処出来る、とても高尚な人間なのだ。それがどう言う訳か、親友の晴れ舞台の邪魔をしているの。
「帰ってくれ」と、、、、「お帰り下さい」と言えば済む話だろう。
しかし!長年の付き合い、さらに普段のこの男の高尚さがそれを阻むのだ!
そして何よりも、こんな偉そうに語っといてアレなのだが、この男の行っている行為は別に悪では無いと言う事を私は理解している。
そもそも空気を読ませて帰らせるという行為そのものが良いものでは無い。
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