不毛な争い

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とりあえず、作戦その一は完全に失敗してしまったので次の作戦に移る事にする。 ◇ 作戦そのニ 「激安クリスマスケーキ作戦」だ。 作戦としては至ってシンプル。 俺がスマホを取り出し驚いたように『いまお前の最寄り駅で、クリスマスケーキの激安セールやってるって!』と一言 奴は恐らく、金のない万年金欠の学生。確かアルバイトもしてなかったから、豪奢なクリスマスケーキも無いはずだ。 奴は恐らく一目散に帰宅し、ありもしない激安セールを探す事になるだろう。 彼女に気づかれ無いように奴を帰らせるには、上出来な作戦だろう。失敗したところでリスクも少ないため効率の良い手段だ。 先ほど微妙な空気になった(というか俺がした)俺たちも、話題を変えてそれなりに盛り上がっている。 状況としても申し分ない。 自然にスマホを取り出し驚いた表情を自然に作る。そこで自然に先ほどから脳内で反復練習を繰り返した言葉を自然に口から吐き出す。 「いまお前の最寄り駅で、クリスマスケーキの激安セールやってるって!」 先ほどの様にテンパって不自然になる事も無く順調に台本通りに作戦が進んでいく。 「数量限定だってよ。お前帰って買った方が良いんじゃないか?」 ここで『数量限定』と言う事によって、自然と急かす事になり、元より俺が作ったガセ情報なのでそんな激安セールは存在しないのだが、この魔法の言葉によって売り切れてしまいセールが終わったのだと判断し、俺への疑いは一切向けられ無いのである。 なんだ。アドリブ上手いじゃないか「俺」 さすがは大学の花と呼ばれた彼女を落としただけはある。 これだけ条件が揃ったのだ 我が友よ君はどう動く? 「ケーキなら昨日買ったから大丈夫だよ」
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