「だからバサラブは旅に出た」

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玉座から降り立ち、謁見の間を出たバサラブは、控えていた中位の吸血鬼たちにいくつか指示を跳ばした。 禁を犯し、人間からの直接吸血を行った反逆者どもの所在を突き止めること。 反逆者と通じているものが、この城の誰と繋がっているのかを突き止めること。 この機に出てくるであろうハンターたちの動きを見張ること。 「さあて、出来れば反逆者は東に逃げてくれんかなあ。ちょっとの名目もあれば、格好がつくじゃないか。」 どうせなら、人間界にいるうちに、再会してきたい。 カーミラにも、ミハイにも。 それから、あのミハイを変えた、「泉実」とかいう人間も見たい。 「いいなあ、人間というものは。楽しいぞ!楽しくてたまらん!はっはっは!」 反逆者どもは、城から出る口実を与えてくれた礼もこめて、一瞬で滅してやろう。 そして、バサラブは旅に出た。 .
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