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種の蒔き方が悪かったのか。
水のあげ方がいけなかったのか。
養分が足りなかったのか。
種自体の問題なのか。
東京に出てきて10年。 ワタシは未だ、
花も咲かない。
実もついていない。
「絵は魅力的なのに、ストーリーがねぇ…」
何度目だろう。編集部に行き、今日も担当にボツを言い渡された。
そんな私の現状は、原作のある物語を漫画にする事だ。
だから、発売されている単行本には原作者の名前と私の名前が並んでいる。
未だに単独で本を出した事がない。
そんな原作付きの漫画が、次号で最終回を迎える。
ここぞとばかりに自分の漫画を売り込むが、敢え無く玉砕。しかも、
「篠崎先生の次回作、もう原作決めましたから」
私のストーリー下手を知っている担当は、早々次の仕事を用意していた。
仕事が無くならない事はとても有難い事。
でも、担当から『これです』と手渡された原作は、
「篠崎先生には、次から少女誌ではなく青年誌で『溺れる主婦』を連載して頂きます」
官能小説の様なものだった。
私の書きたい漫画は青年用ではなく、小中高生をターゲットにした青春少女漫画だ。
私のやりたいことでは、ない。
「2、3日考えさせてもらえませんか? そっちのジャンルは描いた事がなくて…自信がありません」
担当に頭を下げると、ボツになった原稿を胸に抱きしめて出版社を出た。
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