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「ッ!」
ソレはいつも突然だった。
夏になると嫌でもソレを目にしてしまう。
家族が寝静まった夜中。
大好きなバラエティ番組を見ていると、私を襲う恐怖。
ソレはいつも突然で、私から睡魔を遠ざける。
「……はぁ、もうやだ。また見ちゃった」
好奇心が見たくもないのに私を支配する。
いつだって後悔するのはわかってる。
それでも体はいうことを聞かず、私はソレを視認する。
暗闇から現れ、私の頭から離れなくなるソレを。
『…………
――――キャーーー!!
この夏、誰もが恐怖する!
待望の人気ホラー最新作!
絶賛公開中!』
「もう……夏なんてなくなればいいのに……」
カーテンの隙間から日が差し込む中、私はひとり呟いた。
黒い影の入った映像。
いわゆるホラー映画のCMを見るたびに私は睡眠不足に悩まされているから。
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