硝子の箱

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家族を失った年輩の女性が居た その女性は人目を避けるように 夜しか外出をしなかった 周りの噂好きな人間達は あらゆる噂をたて 常に話題にして楽しんでいた ある日いつものように女性は 月の灯りに誘われるかのように散歩に出掛けた とても綺麗な月の夜 誰も居ない公園のベンチに座り 夜空を見上げ ひとときの幸せな時間を過ごしていた 突然笑い声が響き渡り身を硬直させた 噂好きな人間達が大きな声で騒ぎながら 家へ帰る途中だった 女性は逃げるようにベンチを去り 噂好きな人間達が去るのを見送った ただ静かな生活を望んでいただけの女性は 疲れ切り いつも側に居てくれた捨て猫に別れを告げ 永遠に続く世界へ旅立った
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