1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
家族を失った年輩の女性が居た
その女性は人目を避けるように
夜しか外出をしなかった
周りの噂好きな人間達は
あらゆる噂をたて
常に話題にして楽しんでいた
ある日いつものように女性は
月の灯りに誘われるかのように散歩に出掛けた
とても綺麗な月の夜
誰も居ない公園のベンチに座り
夜空を見上げ
ひとときの幸せな時間を過ごしていた
突然笑い声が響き渡り身を硬直させた
噂好きな人間達が大きな声で騒ぎながら
家へ帰る途中だった
女性は逃げるようにベンチを去り
噂好きな人間達が去るのを見送った
ただ静かな生活を望んでいただけの女性は
疲れ切り
いつも側に居てくれた捨て猫に別れを告げ
永遠に続く世界へ旅立った
最初のコメントを投稿しよう!