夏なんて

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   ザザーンと、波の音が聞こえてくる。 目の広がるのは…… 青い海、 白い砂、 笑顔が眩しい彼女……! これほど、夏を満喫できるものはないってぐらい、俺は満たされていた。 夏よ……有難う。 これを俺は待ってたんだ! 彼女の柔らかい手をとって、繋いだままで海辺へと向かう。 水の掛け合いなんかして、はしゃいでしまったのは、夏がそうさせてるんだ、俺のせいじゃない。 お互い顔が濡れたままで、ふと見つめ合う。 ああ……彼女の唇、凄く魅力的だ。 触れたい……触れてもいい、よな? 彼女の頬に手を添えて、俺は顔を近づけたーー。 ーーピピピ、ピピピ 「んあっ……!」 電子音で目を覚ますと、目の前に青い海も、白い砂浜も、色っぽい顔した彼女さえも居なくて……俺はベッドの上で寝ていた。 夢……か。 分かってた。 分かってたけど……。 「はぁ……夏なんてなくなればいいのに」 こうして今日も、エアコンが壊れた暑い部屋で、俺の一日が始まる。 《終わり》
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