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夏の終わり。
避暑地にはもう秋の気配が迫っていた。
「明日帰るんだね」
私は小さく頷いた。
もうしばらくは会えないという感傷は人を大胆にさせる。
彼の後ろから抱きつく。
少女は背の高い彼の腰あたりまでしかなかった。
クツクツと喉を鳴らすように笑う。
それすらも欲情を煽った。
「淋しいのかい?」
私は何度も頷く。
彼はくるりと向きを変え、目線が合うところまでしゃがむ。
思わず、彼に唇が触れるだけのぎこちないキスをした。
彼は身動ぎもせず、
「小鳥のような可愛い口付けだね」
と言った後クスリと笑うと、
じっと少女の瞳の奥を覗き込む。
下腹部が鳴いている。
堪らず、彼の頭を抱えるようにして抱きつくと、まるで食中植物の周りで遊んでいた虫を捕まえたかのように、一気に激しい情をぶつけてきた。
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