アイスキャンデー

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今時分、アイスキャンデーなんて呼称は古いような、一回りして新しいような、そんなものだ。 炭酸が抜けきった甘い砂糖水を青く染めただけみたいな安い味が、夏には持ってこいだと思う。 学校の裏手にある古い神社、参道の端には耳も目も遠いじいさんが営む埃っぽい錆びた商店が一軒。 その店で万引きすると、神社のキツネが真夜中に訪ねてきて、魂を吸いとられるとかなんとか。 アイスキャンデーなんかと違って、カビが生えたパンみたいにゴミ箱へ捨てられそうな話なのに、ここいらの子供は不思議ときっちり払っていく。 店番は、いつもあのじいさん。 客が来てもいなくても、曇った眼鏡で日がな一日NHKを眺めていた。 しかも、壊れかけたブラウン管テレビ。
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