2人が本棚に入れています
本棚に追加
年々上昇していく最高気温に、いつか蒸発してしまうんじゃないかと思う。
舌先に感じる水っぽい甘さの冷感は気休めだ。
喉元を過ぎる頃には温く、体の熱を一つも下げはしない。
額を落ちてくる汗の粒が、またこの暑さを余計に演出する。
「あー……だりぃ……」
社の縁に腰掛けて、鬱蒼と枝を伸ばす木々の隙間から、憎らしいほど青々とした空を見上げる。
参道の鳥居から流れ込む風は、アスファルトを撫で、照り返しで白む石畳の熱を吸い込む。
そうして皮膚に届くそれは、生ぬるいを越えて熱湯のようだ。
木陰を抜けて肌に照る日差しは、刺さるようで傷みさえ感じた。
最早、棒だけになったアイスキャンデーを未練がましく奥歯で噛む。
家に帰りたくはないが、あのエアコンだけは魅力的だ。
最初のコメントを投稿しよう!